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反ワクチン、反医療について思うこと

 昨日は休診日でしたが、院長は顧問税理士との定期的な面談をしてきました。たまには一緒に食事を、ということで単に仕事の話だけではなく、プライベートのことなどにも触れながらの話し合いになりますので時間はあっという間に過ぎていきます。そのなかで仕事のことでいえば、神田小児科も小さいながらも一つの企業になりますので近々予定している職員の給与改定のこと、本年度内に行う可能性が高い設備工事の税務上の扱いなど、医院からの出費に対して助言をいただいたりしています。私ども医師も専門的な知識をもとに患者さんにそれを提供していますが、税理士さんと話をしていると付け焼き刃の知識ではとても専門家にはかなわないと感じます。もちろん勝ちたいなどという気持ちなど全くないので、その知識を大いに活用させていただいています。 資格を持った専門家の知識というものは、それ相応に組まれた教育プログラムに沿って培ったものであることを常々実感します。同じ医師でも他の科のことに関しては国家試験以降で触れる機会がほとんどない分野が多くなります。医師免許証を持っているので、私も立場上外科手術をすることは可能なのですが、実際そのようなトレーニングを受けていないので不可能です。受診される患者さんのなかにはご家族が医師の方も少なくありませんが、多くの方が小児科のことはさっぱり、と言われることが多く、皆さん感じることは同じだなあと思っています。 前置きが長くなりましたが、本日のタイトルの中身に触れていきたいと思います。これを書こうと思った契機は、数日前にTwitterのタイムラインを眺めていたところ「夫が反ワクチンになったので困っています。どうしたらいいでしょうか。」というリツイートが目に付いたからです。その理由も書いてあったので簡単に箇条書きにしてみます。 本来は自然に感染して免疫獲得すべきものなのに、添加物のような毒が入ったものを加えて無理やり体内に入れる意味がわからない。ワクチンによる被害は常々問題になっている。コロナワクチンに代表されるように打っても罹患する。 といったところです。最近よく使われるワードに「論破」というものがありますが、小児科医としては通常はこの手の意見に関しては「論破」できるだけの知見はほとんどの医師が持っているはずです。しかしながら、このような考えになった方を「論破」するのは実際のところ非常に困難な

低身長思春期発来の説明文がようやく完成

 ブログに一つしか記事がないのもなんだか寂しいので今日は頑張って連日でブログを仕上げました。慣れてみると案外使いやすいです。むしろ、新しいホームページの更新に苦心しております。 さて、お知らせにも書きましたが、「診療案内」の項に「低身長思春期発来」という文面を載せました。やらねばやらねばと思っているうちに、ホームページのリニューアルが先になってしまい、やっとやっと重い腰が動いて今日は文面を載せることができました。「診療案内」のなかの内分泌疾患の項目がかなり増えてきているので、ここらは別ページで独立させるなどの必要性を感じています。しかしながら、これを自分でやるのがなかなか難しいことなのでもう少しお時間をください。 低身長思春期発来に関しては文面はホームページを読んでいただくとして、一番気にかけたのは、この治療が自費診療であることから、散々院長自身が否定してきたサプリメントと同様に捉えられないかという懸念です。ホームページにも書きましたが、日本で成長ホルモン製剤が使われだしたのは30年くらい前です。まだ低身長症が、今では差別用語として扱われるような用語で呼ばれていた時代です。 戦後の貧しい状況から、高度成長時代、バブル時代、経済停滞時代を経て今に至ります。小児科の医療はまずは命を救う治療に主眼が置かれていました(これは今も同様です)。特に戦後は感染症で亡くなる方が今とは比べ物にならないほど多く、加えて小児がんや、重度の心臓病も治療が未発達で生存率が少ない時代が長く続きました。加えて新生児医療もほとんど確立されておらず、死産や、生後早期の死亡も決して珍しくありませんでした。こういった分野が小児科診療の主体であり、ワクチンの普及、衛生環境の変化、心臓手術の進歩、抗がん剤の進歩、それに加えて新生児医療のノウハウが確立したことで、小児の死亡率が著しく改善しました。そして、これは日本の平均寿命を大きく伸ばす最大要因の一つとなっています。 こういった時代で「低身長」という状況にある患者さんの治療に関心を持つ小児科医はかなり少なかったようです。小児科医で内分泌を專門としている医師の大半が加入していると思われる日本小児科学会の歴史を見ると、1967年(昭和42年)に日本小児内分泌研究会として開催されたのが始まりだそうです。この時期はまだ院長も生まれていないですが、既に高度成長期に入っ

ブログの再公開、舌下免疫療法とステロイドのお茶の話

 Googleが運営しているブログサービスがあると知って、ここだとブログにありがちな広告表示などもないとのことで、まずは試運転してみることにしました。TwitterとInstagramは最後まで悩みましたが、フォロワーやいいねの数はむしろ書きたいことの邪魔になるとさえ思ったので止めました。一方的な情報発信になりますが、院長の私信もあれば、小児科の診療、特に專門としている内分泌に関してはいろいろ書いていきたいことがありますので、興味のあることだけでもいいので読んでくださればありがたいです。 さて、神田小児科のホームページのお知らせでも書いてあるように、スギ花粉症の舌下免疫療法で結構私たちの現場はここのところ混乱しておりました。状況はお知らせのところに随時更新していますが、これを書いている4月17日現在ではなんとかなりそうな気配になっています。 製薬会社の生産が追いついていないということが第一要素ではありますが、今年の花粉の大飛散と、それに対してのシダキュア®内服患者さんの症状が非常に軽いということで当院としては、改めてシダキュア®の強さを再認識したためお勧めはしていたのですが、同じように考える他のごく一部の施設で、「今年は薬が足りなくなる可能性がある」と見込んで買い占めが進んだのももう一つの要素のようです。正直そこまでは見通していなかった自分の考えが甘かったのも事実ですが、見通せても果たして買い占めるという行為に動けたか、というのもわからないので、ひとまずは現段階で希望されている方の分の確保は段階的に可能な状況になっただけでも良しと考えています。 花粉症関連でいえば、少し前に「花粉症にすごく効くお茶」というものが話題になりました。結論としては成分にステロイドのなかでも相当効果の強いデキサメサゾンというものが含まれていたということで、「そりゃ効くわ」という感想しかありません。効くだけならいいのですが、それを長期に飲んでいれば相当に弊害が出ます。当院でもデキサメサゾンを出す機会は少ないですがあります。クループというケンケンした咳のときにはこの薬がよく効くので、患者さんの状態を見て「1〜2日分だけ」出します。この日数であれば弊害はまず気にしなくてよいですが、1週間以上の内服となると、副作用の心配ももちろんですし、薬を中止するのにも細かいテクニックが必要になります。すぐに中止