低身長思春期発来の説明文がようやく完成

 ブログに一つしか記事がないのもなんだか寂しいので今日は頑張って連日でブログを仕上げました。慣れてみると案外使いやすいです。むしろ、新しいホームページの更新に苦心しております。

さて、お知らせにも書きましたが、「診療案内」の項に「低身長思春期発来」という文面を載せました。やらねばやらねばと思っているうちに、ホームページのリニューアルが先になってしまい、やっとやっと重い腰が動いて今日は文面を載せることができました。「診療案内」のなかの内分泌疾患の項目がかなり増えてきているので、ここらは別ページで独立させるなどの必要性を感じています。しかしながら、これを自分でやるのがなかなか難しいことなのでもう少しお時間をください。

低身長思春期発来に関しては文面はホームページを読んでいただくとして、一番気にかけたのは、この治療が自費診療であることから、散々院長自身が否定してきたサプリメントと同様に捉えられないかという懸念です。ホームページにも書きましたが、日本で成長ホルモン製剤が使われだしたのは30年くらい前です。まだ低身長症が、今では差別用語として扱われるような用語で呼ばれていた時代です。

戦後の貧しい状況から、高度成長時代、バブル時代、経済停滞時代を経て今に至ります。小児科の医療はまずは命を救う治療に主眼が置かれていました(これは今も同様です)。特に戦後は感染症で亡くなる方が今とは比べ物にならないほど多く、加えて小児がんや、重度の心臓病も治療が未発達で生存率が少ない時代が長く続きました。加えて新生児医療もほとんど確立されておらず、死産や、生後早期の死亡も決して珍しくありませんでした。こういった分野が小児科診療の主体であり、ワクチンの普及、衛生環境の変化、心臓手術の進歩、抗がん剤の進歩、それに加えて新生児医療のノウハウが確立したことで、小児の死亡率が著しく改善しました。そして、これは日本の平均寿命を大きく伸ばす最大要因の一つとなっています。

こういった時代で「低身長」という状況にある患者さんの治療に関心を持つ小児科医はかなり少なかったようです。小児科医で内分泌を專門としている医師の大半が加入していると思われる日本小児科学会の歴史を見ると、1967年(昭和42年)に日本小児内分泌研究会として開催されたのが始まりだそうです。この時期はまだ院長も生まれていないですが、既に高度成長期に入っており、感染症死亡は相当に減っている時期に入っていたと思われます。人々の生活に余裕が少しずつ出てきたことで、低身長という分野にも関心を示す小児科医が増えてきたのでしょう。とはいっても「学会」ではなく、まだ「研究会」です。実際には関心を持つ小児科医はまだごくごく少数だったと思われます。この研究会が今の小児内分泌学会になるまでには更に時間を要し1984年(昭和59年)までかかっています。この時点でもまだ日本には成長ホルモン製剤を使える環境にはなく、当時の小児内分泌医は苦心して、少しでも何かできないかという思いで蛋白同化ホルモン製剤を使用していたようです。成長ホルモン製剤が使えるようになってからは、恐らく当時の低身長診療に関わっていた先生方はまさかまたこの製剤が脚光を浴びるようになるとは思っていなかったかもしれません。

そういう経緯のある薬であり、成長ホルモンの効果に比べれば弱い効果なのは否めないですが、今またお困りの患者さんの助けになる可能性を十分に持った薬です。

院長がこの薬を勤務医時代に使うことを決めたのは、元国立小児病院(現国立成育医療センター)内分泌代謝科部長である低身長診療の第一人者の田中敏章先生(現在はたなか成長クリニックを東京で開業されています)がプリモボラン®の効果を改めて評価して日本小児内分泌学会で発表されたことが決め手でした。自費診療ではありますが、古くからある薬ですので安価なことも患者さんに使っていただきやすい要因となっています。なお、先に述べた田中先生はプリモボラン®に限らず低身長診療の進歩に大きな貢献をしたことで、今は小児内分泌学会に於いて「田中賞」という優秀な臨床研究をした医師の賞にも名前を冠されています。

昔からある治療薬も今のやり方で上手に使いながら、一方ではそろそろ成長ホルモン分泌不全性低身長症の患者さんには毎日の注射から、1週間に1回の注射を提供することができる見通しがたってきました。当院では採用していませんが、既に他社さんの製品では1週間製剤は販売されています。しかしながら、この製剤は使いやすさの点で採用を見送っています。当院で導入予定のものは使い勝手も自信を持ってお勧めできます。新しい治療も有益なものはどんどん取り入れて、お困りの患者さんの一助になれば幸いです。

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