新型コロナウイルス感染症が5類感染症になりました
ゴールデンウイークも終わり通常の日々が戻ってきました。そして新型コロナウイルス感染症の法的な取り扱いが変更になっています。ニュース等で内容をご存知の方もみえると思いますが、ざっくりと説明しつつ院長の考えも交えて書いていきます。
まず「5類感染症」ということですが、当然のことながら1〜4類の感染症もあります。これまでは2類に分類されていましたが、その中でも亜型になる新型インフルエンザ等感染症に分類されていました。と書いても意味がわからないですよね。どの感染症も流行するのはいいことではないですが、この分類は必ずしも病状の重さだけでは決まっていません。どちらかというと当該感染症がまん延すると世の中が混乱するので厳格な監視体制が必要な感染症が上位に分類されています(一部正確ではない書き方をしていますが、わかりやすい説明のためです。ご了承ください。)
例えば1類の感染症は日本でしか診療を行ったことがない医師であれば(ほとんどの医師があてはまります)、恐らく一生に一度も診ることがないといえるものになります。2類には有名なものとして結核があります。日本は十分な衛生環境がありながらも結核がなかなかなくならないことで問題になっています。4類には予防接種でご存知の日本脳炎があります。何年かに一度は全国のどこかで発生しています。豚の体内で増殖し、そこから蚊を介して感染する経路のため、養豚場が多い地域では通常は3歳からの予防接種が繰り上がることもあります。伊勢市も2歳からの接種となっています。また、患者発生地域は特例的に一時的な接種時期繰り上げが行われることもあります。
そして5類ですが麻疹風疹という予防接種で知られる感染症もあれば、AIDSのような根治治療がなく予防接種もない疾患も入っています。その他にも多くの方が馴染みの薄く、病状として致命的になるようなものも入っているので「5類=軽い」というものとは単純にはいえません。あくまで感染症の動向把握の違いや、隔離や消毒などの措置の違い、が主体となっています。
ということで5類になった今日からはテレビで毎日のように報道されていた各県の毎日の陽性者数などの報道がまずなくなります。当院でも診断を1人するたびにこれまでは報告していましたが、これが必要でなくなります。これからはおおまかに週1回流行状況が報告されます。5類の考え方として、「国民や医療関係者への情報提供が必要」と厚生労働省は定めていますが、週1回の報告でおおよその流行状況は伝わりますので、そのレベルに下げたということになります。
そして、最初は10日間の隔離を求められていたのが7日に短縮となり、そして今日からは5日となります。これまでは法的に縛られていた7日間ですが、今後はその縛りもなくなります。言い換えれば5日程度休んでください、でも通用するわけですが、学校保健法だけは別で5日の出席停止が法的に定められます。「学校」とありますが幼児も対象ですし、教職員も対象になります。小児科にかかる方の大半はあてはまるとご理解ください。
これに関連して重要なのが濃厚接触者という考えもなくなります。これまでは濃厚接触者になれば容赦なく5日の自宅待機なりが求められましたが、今後はなくなります。
そして診療費などの費用面もこれまでは公費負担でしたが、今後は通常診療と同じになります。小児においては受給者証などの所持で無料になることも多いため、影響が出る方は限られます。また治療薬は高額なためしばらく補助が出ますが、そもそも小児適応の薬はないためここでは割愛します。
最後にマスク着用は3月から緩やかに解除されてきましたが、今日からは屋内での着用も含め個人判断となります。しかしながら当院は感染拡大防止の観点から引き続き院内でのマスク着用はお願いすることになります。
コロナが問題となって3年ほどでようやくここまでの状態に戻りました。この移行についてももちろん賛成反対の意見が分かれることと思いますが、国として世界各国に倣って新型コロナウイルスと共存していくという考えを出したといえるでしょう。この3年間、特に最初の1年は緊急事態制限などで我々の行動は相当に制限されていました。感染に対する予防策もそれまでの考え方と比較すると異様なまでの清潔行動を求められていたといえます。予防すること自体はとても大事なことですし、新しい感染症の場合はどのような流行状況になるか、重症度はどうなのか、という未知の部分が多いため最悪の事態を想定して過剰ともいえる対応(海外のロックダウンなどもそれになります)になるのはやむを得ません。3年間この感染症の対策を行い続けてきて、まあインフルエンザに近い対応でいいだろうというところに着地したといえます。もちろん重症者、死亡者がなくなるわけではありませんが、それも含めて受け入れて共存していくことになります。
日本人は清潔な人種であり、マスクをつけることも、毎度手を消毒することも大半の方が受け入れてきたと考えます。逆にそれから離れることがその清潔概念で難しくなってしまう状況がしばらくは予想されます。
コロナへのこれまでの予防対策で必然的に他の感染症の流行も抑えられていました。特に最初の2年はインフルエンザの国内発生がほとんどありませんでした。この前の冬も流行こそありましたがコロナ前の半分程度です。しかしながら、普通の風邪も含めて、さまざまな制限が緩和されるにつれていろいろな感染症が徐々に増える兆しをみせています。制限を緩めればこうなるのは必然です。もちろん今後の流行状況などを踏まえて随時適切な対策を行うことは引き続き大事です。
小児のコロナ感染に関しては、恐らく夏に向けてますますマスクを外す方向になりますし、ワクチンの接種率もかなり低いことから次の流行の波が来れば今まで以上に学級閉鎖の割合は増えると思われます。ここで問題になるのは、これまでは濃厚接触者の概念があったためご家族も強制的に自宅なりの待機を強いられていたのがなくなることで、子どもがコロナに感染しても休めないという方が増えることです。これまでの濃厚接触者と同じ対応で休暇を認める企業ばかりではありません。そこは企業の良心に委ねるしかないのが現状です。
この次の流行波は間違いなくやってきます。このときに皆がどう対応していくかが今後の共存のうえで重要になってきます。世間がどのように反応するかを見守り、そして当院は引き続き同じ体制で患者さんに対応していきます。コロナもインフルエンザも5日ですが、正直なところコロナの5日目はまだ感染力がけっこう残っている状態と思われるため、診療のうえではまったく同じように扱うことはまだ難しいのではないかと考えています。それが可能になるのはまず第一により効果のあるワクチンを多くの方が接種する状況、そしてその次が安価で効果の高い治療薬の登場といえます。薬を使う時点で既に感染しているので、やはり今後はワクチンを中心としたより効果的な予防策の確立が重要といえます。
緩くなったとはいえ、まだ当面コロナは診療の場面においてはそれを考えずにやっていくことは困難です。医療機関においては恐らく大半のところで感染拡大防止への協力をお願いすることになるはずです。それは介護施設などでも同様でしょう。病院の入院患者の面会制限もそんなに簡単には緩まないと思っています。感染症が最も集まりやすい場ではこのような対策を講じることはどうしても欠かせません。この3年間、かなり面倒を伴う受診体制に不平を訴えてくる患者さんはみえませんでした。皆さんが非常に協力的であったためこの体制が成り立ったのは間違いありません。それに関しては感謝の言葉以外ありません。ありがとうございます。引き続きのご不便をお詫びするとともに、円滑な診療の提供に努力していきますのでよろしくお願いします。